土地区画における「開発逃れ」について
2023年10月20日
不動産(土地)には都市計画法、建築基準法の、開発行為に該当するものがあります。
この開発行為の手続きが複雑なゆえに、開発逃れをおこなう業者がいます。この開発逃れについて具体的実例を挙げてみると以下のようになります。
「開発逃れ」とは、都市計画法や建築基準法に基づく開発行為の許可や制約を避けるために、不動産開発者や業者がとる行為のことを指します。これは主に、土地の開発や建物の建築に関する規制を回避することを目的としています。
以下は、開発逃れの具体的な実例です。
1. 区画の小分け
開発行為の許可が必要となる土地面積の基準を下回るように土地を小分けにし、各小区画ごとに開発を進
めることで、全体としての大規模な開発行為の許可を回避する方法。
2. 用途地域の境界線を利用する
例えば、商業地域と住居地域の境界付近で、一部の土地を住居地域側に残して全体の面積を減少させる
ことで、商業地域における開発の規制を回避する。
3. 建築基準法の規制回避
建築基準法における建物の高さや容積率、敷地率などの基準を微妙に回避するために、例えば屋上に機 械室やタンクを設置し、これを建物の高さに含めないようにする方法。
4.時間をかけての段階的な開発
開発行為の基準に該当する面積や規模を少しずつ、時間をかけて開発することで、一度に大規模な開発を
行うことの規制を回避する。
5.土地の一時的な利用変更
ある土地における一時的な利用変更を行い、開発行為の規制を回避することを目的として、実際の土地利
用の目的とは異なる利用を一時的に行う。
このような開発逃れは、都市計画の理念や目的を損なう可能性があり、都市環境の質の低下や都市機能の乱れを引き起こすリスクがあります。
そのため、行政側もこれらの行為をチェックし、必要に応じて指導や監督を行っています。
また、開発逃れが「悪質」だと行政側判断するケースもあります。
開発逃れ行為は、都市の計画的な発展や住環境の保全という公共の利益を損なう可能性があるため、行政側はその実施状況を監視し、場合によっては指導や監督を行います。特に以下のようなケースでは、行為が悪質であると判断されることが考えられます。
1.法的制約を大幅に逸脱
小さな基準の逸脱よりも、大幅な逸脱を伴う行為は悪質と判断されやすいです。
2.繰り返しの違反行為
同一の業者や個人が繰り返し開発逃れを行っている場合、その行為は悪質とみなされる可能性が高まり
ます。
3.公共の安全を損なう可能性
開発逃れの結果、公共の安全が損なわれるリスクが生じた場合(例:不適切な土地利用による土砂崩れ
のリスク増大など)は、特に重大と判断されます。
4.環境への悪影響
開発逃れにより自然環境が大きく損なわれるケース、例えば湿地の埋め立てや森林の伐採など、持続可
能な環境への影響が大きい場合には悪質と判断されることがあります。
5.隠蔽行為
行政のチェックや監督を避けるための隠蔽行為や虚偽の報告を行っている場合、それは明確に悪質と判
断されます。
このような悪質な開発逃れが確認された場合、行政側は指導や是正措置を求めるだけでなく、罰則の適用や許認可の取り消しといった厳しい措置を取ることがあります。そのため、不動産開発に関わる業者や個人は、法的な制約や規定を正確に理解し、適切な行為を心掛けることが重要です。