悪徳な宅建業者に行政処分を与える方法

2024年03月03日

悪質な宅建業者(不動産業者)に行政処分を与える方法

 

突然電話を掛けてきて「絶対に儲かります」などといいかげんな説明をして投資用マンションを売り付けるデベロッパーや、訪問販売で長時間居座って不動産の購入を迫る不動産業者など、悪質な業者の不動産販売の勧誘は誰しも一度は経験したことがあるのではないかと思います。

 

私も以前、名簿業者から不正に私の携帯番号を購入した大阪のデベロッパーから投資用マンションの購入に関する電話が頻繁に掛けられて大変迷惑した経験がありますので、このような悪質業者はこの世から1社残らず消滅してほしいと心の底から思っています。

 

このような宅地建物取引業者(不動産業者)を市場から締め出すにはどうしたらよいかというと、それはもう行政機関から業務停止などの行政処分を与えてもらうのが一番の近道と思われます。

 

国土交通大臣や都道府県知事は悪質な宅地建物取引業者(不動産業者)に対して業務停止や免許の取り消しなど必要な行政処分を行いその業務を取り締まることができます。

 

そのため、悪質な宅建業者(不動産業者)から勧誘を受けて迷惑していたり、悪質な宅建業者(不動産業者)から不動産を購入してトラブルに巻き込まれてしまった場合には、その旨を監督官庁である国土交通省や都道府県庁に情報提供し、行政機関による調査や処分を促すのも悪質な宅建業者(不動産業者)を市場から締め出す一つの方法として有効だと考えられます。

 

そこで今回は、悪質な宅建業者(不動産業者)に対して行政処分を与えたい場合の具体的な手順などについて考えてみることにいたしましょう。

 

目次

・悪質な宅建業者(不動産業者)に行政処分を与える方法 その1

(1)宅地建物取引業保証協会に苦情の申出を行う場合

(2)国土交通大臣または都道府県知事に違法行為の情報提供を行う場合

※監督官庁に行政処分を出すよう促す場合の申出書の作成方法について

その宅建業者(不動産業者)が過去に行政処分を受けているか確認したい場合

 

・悪質な宅建業者(不動産業者)に行政処分を与える方法 その2

悪質な宅建業者(不動産業者)から勧誘を受けて迷惑していたり、悪徳な宅建業者(不動産業者)から不動産を購入してトラブルに巻き込まれてしまった場合に、その悪質な宅建業者(不動産業者)の行為を報告する相手先としては、「宅地建物取引業保証協会」と「行政官庁」の2つがありますので、この2つの報告先への情報提供方法をそれぞれ別に解説することにいたします。

 

(1)宅地建物取引業保証協会に苦情の申出を行う場合

宅地建物取引業保証協会とは、宅建業者(不動産業者)だけが会員(社員)となることのできる団体で、協会に所属する会員(社員※宅建業者(不動産業者))の行った取引に関する苦情の解決や会員への研修などを行うことを主な業務としている一般社団法人のことを言います(宅地建物取引業法第64条の2ないし同条の3)。

 

不動産業者の店頭の窓などに「ハトのマーク」が貼られているのを見たことがあると思いますが、あれはそのシールを張っている宅建業者(不動産業者)が宅地建物取引業保証協会の中の一つである”全国宅地建物取引業保証協会”という団体に所属していることを示しています。

 

ちなみに、宅建業者(不動産業者)が宅地建物取引業保証協会に所属するか(会員となるか)は各宅建業者(不動産業者)の自由ですが、ほぼ99.9%の宅建業者(不動産業者)はいずれか宅地建物取引業保証協会に所属しているのが現状です(※ちなみに全国の宅建業者の約80%は前述のハトのマークの宅建協会に所属しています)。

 

この宅地建物取引業保証協会では、その所属する会員(宅建業者)と顧客との間でトラブルが発生し、その顧客からの申出を受けた場合には、必要な助言を行うとともにトラブルを発生させた宅建業者(不動産業者)に対して調査(説明や資料の提出を求めるなど)を行うことが義務付けられています(宅地建物取引業法第64条の5)。

 

【宅地建物取引業法第64条の5】

 

第1項 宅地建物取引業保証協会は、宅地建物取引業者の相手方等から社員の取り扱った宅地建物取引業に係る取引に関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、当該苦情に係る事情を調査するとともに、当該社員に対し当該苦情の内容を通知してその迅速な処理を求めなければならない。

第2項 宅地建物取引業保証協会は、前項の申出に係る苦情の解決について必要があると認めるときは、当該社員に対し、文書若しくは口頭による説明を求め、又は資料の提出を求めることができる。

第3項 社員は、宅地建物取引業保証協会から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。

第4項 宅地建物取引業保証協会は、第一項の申出及びその解決の結果について社員に周知させなければならない。

 

(注)※この条文で使われている「社員」という文言は一般社会で「会社の社員」を指す際に使用する「社員」ではなく、「宅建業協会に加盟する不動産業者(宅建業者)」という意味で使用されていますので誤解しないようにしてください。

 

そのため、悪質な宅建業者(不動産業者)から勧誘を受けて迷惑していたり、悪徳な宅建業者(不動産業者)から不動産を購入してトラブルに巻き込まれてしまった場合には、この宅地建物取引業保証協会に対する「苦情の申出」の制度を利用することも、トラブル解決方法の一つとして有効です。

 

勿論、宅地建物取引業保証協会は行政機関ではありませんので「トラブル解決の助言や調査」を行うことしかできません。

 

しかし、法令に違反する悪質な宅建業者(不動産業者)については、宅地建物取引業保証協会から監督官庁である国土交通大臣や都道府県知事に違法行為の報告(告発)がなされることも期待できますので、間接的ではありますが宅地建物取引業保証協会に苦情の申出(トラブル解決の申出)を行うことも悪質な宅建業者(不動産業者)に行政処分を与える方法として有効ではないかと思われます。

 

なお、宅地建物取引業保証協会に対する苦情解決の申出に法定の方法はありませんので、電話で行っても書面でおこなっても問題ありません。

 

ちなみに、国内に設立されている宅地建物取引業保証協会のうち、前述した「ハトのマーク」の全国宅地建物取引業保証協会に所属する宅建業者(不動産業者)に対する苦情解決の申出先は、こちらのサイトに掲載されていますので、苦情の申出を行いたい場合は参考にしてください。

 

苦情の解決業務窓口一覧|公益社団法人全国宅地建物取引業保証協会

 

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