改正建築基準法が及ぼす不動産取引の影響
2024年07月07日
Q:今回は、令和6年4月に施行される「改正建築基準法」について、
今後、不動産売買契約等の取引を行う際の影響について論じてみます。
A:令和6年4月に施行される改正建築基準法は、
不動産売買契約にいくつかの重要な影響を与えると予想されます。
以下にその主なポイントを挙げてみます。
1. **耐震基準の強化**
新しい基準では、特に耐震性能に関する要件が強化されます。
これにより、古い建物の売買においては、耐震補強が必要となる場合が増えるでしょう。
売主は、建物の耐震性を証明するための調査や補強工事を行う必要があり、
これが取引コストに影響を与える可能性があります。
2. **エネルギー効率の向上**
改正法では、建物のエネルギー効率に関する基準も厳格化されます。
これにより、新築物件だけでなく、既存の建物に対してもエネルギー効率の改善が
求められることになります。買主は、エネルギー効率の高い建物を選ぶ傾向が強まり、
売主はその対応を迫られるでしょう。
3. **空き家対策**
空き家の増加が社会問題となっている中、改正法では空き家の管理や流通を促進する
ための措置が含まれています。
これにより、空き家の売買が活発化し、取引の機会が増えると期待されます。
4. **取引の透明性向上**
新しい規定では、不動産取引の透明性を高めるための措置が強化されます。
例えば、重要事項説明書の内容がより詳細になり、買主が安心して取引を行えるようになります。
5. **デジタル化の推進**
不動産取引のデジタル化が進む中で、改正法では電子契約の利用が促進されます。
これにより、取引の効率化が図られ、手続きが迅速かつ簡便になるでしょう。
これらの改正により、不動産売買契約においては、より多くの準備と確認が必要となりますが、
取引の安全性と透明性が向上することが期待されます。
A:たとえば、不動産会社が買取し再販する場合、改正建築基準法がネックとなり、
買取物件が再販できないケースが想定されるのでしょうか?。
Q:改正建築基準法が施行されると、不動産会社が買取し再販を行う際に
いくつかの課題が生じる可能性があります。以下にその主なポイントを挙げます。
1. **耐震基準の強化**
新しい耐震基準に適合しない建物は、再販前に耐震補強が必要となる場合があります。
これにより、補強工事のコストが増加し、再販が難しくなる可能性があります。
2. **エネルギー効率基準の厳格化**
改正法ではエネルギー効率基準が厳格化されるため、既存の建物が新基準を満たさない場合、
エネルギー効率の改善工事が必要となります。これも再販のハードルを上げる要因となります。
3. **再建築不可物件の影響**
再建築不可物件に対する規制が強化されるため、こうした物件のリフォームや再販が
さらに難しくなることが予想されます。特に、接道義務を満たさない物件や構造的に問題の
ある物件は、再販が困難になる可能性があります。
4. **書類提出の増加**
改正法により、建築確認申請や構造・省エネ関連の書類提出が増加するため、
手続きが煩雑化し、再販までの期間が延びることが考えられます。
これらの要因により、不動産会社が買取し再販を行う際には、
事前に十分な調査と準備が必要となります。
特に、耐震性やエネルギー効率に関する基準を満たすための工事が必要な場合、
そのコストと時間を考慮に入れることが重要です。