【売買】で重説直後に行う売買契約のリスク
2024年08月13日
Q:不動産売買契約において宅建業者が契約締結前におこなう重要事項説明書と不動産売買契約は
同じにおこなって問題ないでしょうか。
判例や国土交通省令、通知や通達を踏まえて、その理由も考えてみました。
A:不動産売買契約において、宅建業者が契約締結前に行う重要事項説明書と不動産売買契約を
同時に行うことは、法律上問題があります。
★その理由は以下の通りです。
1. **宅地建物取引業法の規定**
・宅地建物取引業法第35条では、宅建業者は契約締結前に重要事項説明を行い、
その内容を記載した書面(重要事項説明書)を交付することが義務付けられています。
・重要事項説明は、契約を締結するかどうかの判断材料として提供されるものであり、
契約締結前に行う必要があります。
2. **判例**
・名古屋地判平成6年3月25日の判例では、重要事項説明が適切に行われなかった場合、
契約の無効や損害賠償が認められることがあります。
3. **国土交通省の通知・通達**:
・国土交通省の通知や通達でも、重要事項説明は契約締結前に行うべきであり、
契約締結と同時に行うことは適切でないとされています。
これらの理由から、重要事項説明書と不動産売買契約を同時に行うことは避け、
必ず契約締結前に重要事項説明を行うようにしなければなりません。
Q:実際の不動産売買において、重要事項説明書を聞いてから売買契約をおこなうまでの
実際には、期間はどれくらい空ければよいですか。
A:重要事項説明書を受け取ってから売買契約を締結するまでの期間について、
法律上の明確な規定はありません。
しかし、一般的には**数日から1週間程度**の期間を空けることが
推奨されています。
※この期間を設ける理由は以下の通りです:
1. **買主の理解を深めるため**
・重要事項説明書には物件に関する詳細な情報が記載されており、
買主がその内容を十分に理解し、納得するための時間が必要です。
2. **トラブル防止**
・重要事項説明書の内容をしっかりと確認し、疑問点や不明点があれば宅建業者に
質問することで、後々のトラブルを防ぐことができます。
3. **冷静な判断**
・重要事項説明を受けた後、冷静に考える時間を持つことで、
感情に左右されずに適切な判断ができるようになります。
このように、重要事項説明書を受け取ってから売買契約を締結するまでの期間を
設けることは、買主の保護と取引の透明性を確保するために重要です。
Q: それでは、不動産売買契約において、重要事項説明をおこなった直後、
つまり同じ日に売買契約をおこなった場合の問題について列挙してください。
A: 重要事項説明を行った直後、同じ日に不動産売買契約を締結する場合には、
以下のような問題が生じる可能性があります。
1. **買主の理解不足**
・重要事項説明書には多くの情報が含まれており、買主がその内容を十分に理解する
ためには時間が必要です。同日に契約を締結すると、買主が内容を十分に理解しないまま
契約を結ぶリスクがあります。
2. **冷静な判断ができない**
・重要事項説明を受けた直後に契約を締結すると、買主が冷静に考える時間を持てず、
感情的な判断をしてしまう可能性があります。
3. **トラブルの発生**
・重要事項説明の内容に疑問や不明点がある場合、それを解消する時間がないため、
後々トラブルが発生するリスクが高まります。
4. **法的問題**
・宅地建物取引業法では、重要事項説明は契約締結前に行うことが義務付けられており、
同日に行うことは法的に問題があるとされています。
5. **信頼関係の欠如**
・買主が十分な説明を受けたと感じない場合、
宅建業者との信頼関係が損なわれる可能性があります。
これらの問題を避けるためには、重要事項説明を行った後、
少なくとも数日から1週間程度の期間を空けて
から売買契約を締結することが推奨されます。