不動産の価値は道路で決まる
2021年04月28日
本日発行「宅建Dr.のマル秘レポート 2021年5月号」では
不動産のしくみの新常識を記しました。
コラムでは、そもそもの不動産の基本の「き」である「道について」解説します!
まず「不動産は道路に始まり道路に終わる」ほど、道は重要です。
では、道って、道路って、何でしょう?
法律上の定義
道路法 | 一般交通の用に供する道で①高速自動車国道②一般国道③都道府県道④市町村道 |
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道路交通法 | 上記①~④に加え、一般の交通に供用されていれば、私道、広場、公園、河川敷、地下街等も含まれる。 |
土地改良法 | 農業用道路のことで、いわゆる農道のこと |
森林法 | 林道のことであり、森林の整備・保全を目的として設けられる道路の総称 |
港湾法 | 臨港地区内における臨港交通施設として供される臨港道路のこと |
建築基準法 | 建築基準法第42条における道路 |
その他の法律 | 道路運送法・漁港漁場整備法・自然公園法・都市公園法・国有財産法・ 河川法の道路もある |
正直、記事を書く私も混乱してきました。
道は道でしょ?人が通れる路地状の土地を道と言わずに何というのか。
一般の感覚はこれにつきますが、
不動産の価値を決めるにあたってはそれではいけません。
不動産の価値を語る上で重要なのは2つです。
「①建築基準法上の道路種類」と「②公道・私道の種類」それぞれ詳しく見てみましょう。
①建築基準法上の道路種類
1,幅員4m(6m)以上の公道(建築基準法上の道路)
2,幅員4m未満の公道(法42条2項道路※4m未満の場合セットバックが必要)
3,位置指定道路に認定された私道
4,全員の同意にて協定のある私道(協定道路)
5,喉元敷地の協定同意のない私道(協定道路、都度建築審査会の審査を要する)
6,建築基準法上の道路でない公道・私道(原則再建築不可)
7,【種類ではないが要注意】道は(1~5)だが、接面が2m未満(原則再建築不可)
概略になりますが、建築基準法上の道路種類には上記の分類があり、下に行くほど価値も下がってしまいます。
特に(6,7)再建築不可であれば、物件価値は通常の半額以下ということも・・・
如何に再建築時の制限がないか(建て易いか)によって、不動産(土地)の価値は上下いたします。
補足ですが「道路法上の道路≠建築基準法上の道路」です。例をあげます。
例1)高速道路
高速道路は公道で、道路法上の道路ですが、
道路沿いに建築物を建てることができませんので、建築基準法上の道路ではありません。
例2)鉄道用地(通路の形状に整備された空地に限る※)
鉄道用地は鉄道会社の私有地で、道路法上の道路ではありませんが、
通路沿いなら建築物を建てられることがあり、その場合には建築基準法上の道路扱いされます。
※鉄道用地でも駅舎や線路沿いの場合は建築不可が原則です。
②公道・私道の種類
道路の所有者は、法律上の道路の定義では重視されていませんが、
不動産の価値を決める際にはとても重要です!
価値が高いのは、公道>私道
その差には天と地ほどの開きがあります。
大きな理由はアスファルトやライフラインの整備の負担が挙げられます。
公道であれば、県や市町村が公共事業として、税金で道路の維持管理を行いますが、
私道の場合、自己負担の場合があります。(地役権設定などがあり、市が整備してくれる私道も存在します)
もし、30mある私設の水道管が古くて、すぐに取替が必要な土地に家を建てようとするなら、
数百万円の設備交換費が発生しますので、その分、土地の値段を減額したいですよね。
この考えで、将来発生しうる費用があるならば、土地の価値はそれほど高くならないことは想像に易いと思います。
また、私道の場合で見落としてはいけないことは、もうひとつ、
道路部分の土地は誰のもの?ということ。
所有権に勝る権利はありません。誰の道なのかは、とても重要です。
道路のすべてに持分がある場合、部分的に持分がある場合、
全く持分はないが地役権が設定されている場合、地役権はないが覚書により所有者の通行合意等がある場合、
持分はない上、土地所有者と何らの協議も保証もない場合。。。
様々なケースがあり、ケースごとに問題が異なります。
家を建てたり、工事をしたりするたびに、所有者に「いわゆる使用料」を支払わなければいけない土地、
ある日突然、所有者が「アスファルトが痛むからダメ」と自宅へ車の進入を禁止した土地もあります。
私道に関するトラブルは数多く存在する奥深い内容のため、いずれ特集記事を組みます。
最後に・・・
不動産は道路に始まり道路に終わるほど、奥深いので、不動産会社でも知識に差があるのが実態です。
道の説明を省略したり、うまく理解させれなかったりする担当者は、残念ながら業務習熟度が低いのかもしれません。
不動産は人生で最も高額な買い物ですから
よくわからないものは買わない。わかるまで(納得できるまで)説明を聴く。
聞いても理解できそうにない・・・という方は
「幅員4m以上の公道」に接する「平坦かつ整形の土地」を買ってください。
不動産会社の担当者は、お客様の物件購入の強力なサポーターであるべきです。
サポーター選びを誤って、価値のない物件を高く買う判断をすることがないようにお気を付けください。
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