住宅ローン滞納で届く7つの通知書
2022年08月31日
本日配信「宅建Dr. のマル秘レポート 9月号」は不動産業と女性の関係を深堀。
不動産と女性といえばパッと思いつくのは『家』でしょうか。
やはり、マイホームを考える際に奥様のご意見が強いのは、多くの家族に当てはまるかと思います。
ところがお金の計画となると、奥様だけが管理する家庭・反対にご主人様が管理する家庭・夫婦共有で管理する家庭・・・様々で、マイホームとは家族の総意で購入いただきたい!と思います。
そこで、今回のコラムはマイホームと切って離せない『住宅ローン』について。
無理のない返済比率は15~25%程度とありますが、各家庭によりキツイと思う比率は異なります。
もしも滞納してしまったら?
今回は「住宅ローンで届く7つの通知書 放置は絶対にNGです!」について紹介します。
夢のマイホームを購入したものの、給与カットやリストラ、病気や離婚などやむを得ない事情で、住宅ローンの支払いを延滞・滞納してしまうこともあるかもしれません。1度や2度の遅れなら、通知が来てすぐに支払い、その後もしっかり返済することで特に問題にならない場合が多いと思います。しかし、滞納が続くようになると、金融機関から通知書が届くようになり、それを放置してしまうと競売に向けた手続きが進んでしまうため、少しでも早めに対処することが重要です。
住宅ローンを滞納してしまった場合に届く通知書の種類や意味、タイミングについて詳しくご説明します。
【督促状・催告書】
住宅ローン滞納1ヶ月目は金融機関から電話や「支払い請求書」が届きます。
そして滞納が2ヶ月になると、「督促状」または「催告書」といった通知が届くようになります。これらは住宅ローンの返済を強く催促する書面で、「延滞金と遅延した分の利息(遅延損害金)をまとめて支払いなさい」といった内容が支払い期限とともに記載されているだけでなく、「期日までに返済しなかった場合は法的手続きを行なう」といった厳しい内容も書かれています。
督促状や催告書が届いた段階で、滞納金を一括返済できれば間に合います。また支払いが無理な場合でも、必ず金融機関に連絡するようにしましょう。「お金がないから払えない、だから連絡できない」と放置してしまうのが一番よくないのです。支払う目途が立たない場合は、任意売却に向けて動き出します。
【期限の利益喪失通知書】
滞納してから3ヶ月~6ヶ月(債権者によって異なります)経つと、「期限の利益喪失通知」が届きます。「期限の利益」とは住宅ローンを月々の分割で返済する権利のことで、月々きちんと返済していれば残金は一括返済しなくていいというものですが、それを喪失するということは、残債を一括返済しないといけなくなるということになります。つまり、この通知が届いた時点で、住宅ローンが一括でしか支払えなくなるのです。
また、この通知には、遅延損害金も合わせた住宅ローンを期限までに金融機関に一括で返済(一括弁済)できない場合、保証会社に残債を一括請求(代位弁済)すると言った内容も記載されています。
【代位弁済通知書】
期限の利益喪失通知書が届いた段階で一括弁済できれば問題ありませんが、できなかった場合は保証会社が債務者に代わり、残債を一括で銀行へ支払う(代位弁済)ことになります。ここで「代位弁済通知書」が届き、以降は金融機関ではなく、保証会社から一括支払いの催促が行われることになります。
「代位弁済通知書」が届くと、競売になるまであまり時間がありません。何も手を打たなければ裁判所に競売の申し立てがなされ、競売の手続きが進められてしまいます。少しでも早い対応が必要です。任意売却について相談してください。
【競売開始決定通知書】
滞納してから6~8ヶ月経つと、「競売開始決定通知」が届きます。これは金融機関が裁判所へ競売の申し立てを行い、正式に受理されたという通知です。この通知が届いた段階で物件は差押えとなり、勝手に処分することは出来なくなります。
競売開始決定通知書を見て驚き、慌てて相談に来られるケースもありますが、この段階になると時間的にかなり厳しくなってきます。任意売却による競売の取り下げを行うためには、1日でも早く相談してください。
【現況調査通知】
「競売開始決定通知書」が届いて1ヶ月前後で、裁判所から「現況調査通知」が届きます。これは物件の売却基準価額を決定するため、裁判所の執行官が調査に来ることやその日時が記載された通知で、拒否することはできません。連絡がつかない、訪問に応じない場合は、鍵を開けて調査が実行されます。主な調査内容は自宅の状況についての聞き取りや、室内・周辺環境の写真撮影、近隣への聞き込みなどです。
この段階で引っ越さなければならなかったり、追い出されたりすることはありませんが、数ヶ月後に入札が開始されると落札者が決定した時点で、強制退去させられることになります。時間の余裕はありませんが、まだ任意売却の可能性はあります。一刻も早く相談してください。
【期間入札通知書】
現況調査から2ヶ月~3ヶ月後、入札が始まったことを知らせる「期間入札通知書」が届きます。これは競売になる物件の入札の開始から終了までの期間と入札の開札日が記載された裁判所から送られてくる通知です。通常、この通知が届くと競売開始までほとんど時間はなく、入札日が迫ると任意売却に応じてもらえないことが多くなり、入札開始後の取り下げはほぼ不可能になります。
入札期間は1週間~1ヶ月の範囲で決められ、最終日に落札者が決定し、所有権の移転の手続きが終わると、立ち退きを迫られることになります。
まとめ
住宅ローンの返済が滞ってしまった場合、何の対処もしなければ不動産は競売にかけられてしまいます。競売は市場相場より安くなるだけでなく、近所にも知られたり、強制退去させられるなどデメリットや精神的な負担も大きいので、できるだけ避けたいものです。
それぞれの段階で届く通知書の内容を知って、必要なアクションを起こしてください。何もせず放置してしまうのが最もよくありません。住宅ローンの返済が滞ってしまった場合は、少しでも早く相談されることをおすすめします。当社でも全力でサポートいたしますので、どうぞ安心してご相談ください。